蜂の子ハンター3

日本の食虫文化として有名なのは「イナゴ」を代表とするバッタですね。
その他にも、幼虫や蛹を食べる文化が現代に継承されています。

これは決して、罰ゲームや貧困の果てに仕方なく食べてみたら美味かった、というような話でもありません。
食べ物として、「虫」が選ばれてきた理由があり、その文化(昆虫食)が現代に伝わっているのです。

事実、蜂の子は、美容と健康に良いとされ、古くから珍重されており、長野県や滋賀県などの山間部では、佃煮や甘露煮として親しまれています。

蜂の子には様々な種類がありますが、スズメバチ類の中でも、比較的小型の「クロスズメバチ」の巣(地面の中にあります)を掘り出して、幼虫や蛹を捕獲します。

土地の呼び名で「ジバチ」「スガレ」「ヘボ」として親しまれ、瓶詰めやペースト状に加工したものが販売されています。

今回は、我が国「日本」で、蜂の子を今に伝える「蜂の子ハンター」とその文化について、皆さんにご紹介させて頂きます。

伝統技術「スガレ追い」

日本の蜂の子ハンターが行う狩りの手法として、「スガレ追い」と呼ばれる方法が伝えられています。
具体的には、動物の肉片(小さなもの)を用意し、それをワタに包みます。
ワタの端っこを細長く伸ばし、屋外で見つけた働き蜂に括りつけて飛ばします。

肉片を括りつけられた働き蜂は、その肉片を巣に持ち帰ろうとがんばります。
蜂ハンターは、その蜂の後ろを付いて行き、巣の在り処を見つけ出すのです。

所によっては、ワタではなく和紙やティッシュを利用するハンターもいますが、目的は同じ。
さらに、あまり大きなものを付け過ぎると蜂が巣にたどり着くことが出来ず、また軽すぎると追いかけることが難しくなるため、案外に奥深い手法です。

蜂は空を飛んでいるため、追いかけるのは簡単ではありません。
とにかく、走りっぱなしです。

さらに、足場の悪い所や崖、自動車が走る道路を渡らなければならない場合もあります。
ですので、一部の自治体では、危険を避けるために「スガレ追い」を禁止しているところもあるのです。

発煙筒で一網打尽!

無事に巣を発見できたら、防護服を着用して巣を訪れ、トドメの発煙筒で燻します。
発煙筒で蜂の巣を燻すことにより、中にいる蜂を仮死状態にするのです。

発煙筒は、蜂の子捕獲用として販売されている物が利用されます。
昔は、蜂の子ハンターが独自に調合した煙を利用していたそうですが、現在の日本では専用の発煙筒を利用するのが一般的だとか。
発煙筒で燻した蜂の巣を、短時間で一気に掘り起こし、蜂の子を捕獲するのです。

一網打尽のあとは食べるだけ・・ではありません

掘り起こした蜂の巣は、綺麗に掃除され、ピンセットなどを利用して蜂の子を取り出す作業を行います。
これが結構根気のいる作業で、蜂の巣の中にある穴から、一つ一つ引っ張り出さなければなりません。

体力と繊細さを必要とするとても難しい猟、それが「蜂の子猟(スガレ追い)」であり、蜂の子ハンターの凄いところなのです。

蜂を追いかけることから始まって、捕獲して取り出すまで、想像以上の労力を必要とする蜂の子猟。
インターネットや通信販売で注文するだけでは、蜂の子ハンターの困難までは計り知ることは出来ません。
高い効果・効能が期待できる蜂の子は、今回ご紹介させていただいた「蜂の子ハンター」の努力の結晶なのですね。

皆さんが召し上がっているサプリメントや蜂の子料理は、もしかしたら、蜂の子ハンターが捕まえたものかもしれません。
蜂の子ハンターの努力を噛み締めながら、美味しく頂きましょう。